初心者必見!補助科目の基礎知識!!

あなたは、どの勘定科目に「補助科目」を設定するべきなのか、基準を明確にしていますか?

補助科目を設定する勘定科目が多すぎると日常の作業が煩雑になります。逆に補助科目を設定する勘定科目が少なすぎると、いざ何かをチェックしようという時に集計作業から始めなければならず不便になります。とくに会計の初心者の方は、「補助科目」の設定という言葉を見ただけで、固まってしまう方が多いのではないでしょうか?

そこで、今回は今すぐできる補助科目の設定に関するポイントを目的別にお伝えします。

みんなの青色申告は、会計王と比較すると一部の機能に制限がありますが、基本的に操作方法は同じになります。あなたが会計王19の製品版をご使用の場合には、以下の「みんなの青色申告19」を「会計王19」と読み替えて作業を進めてください。スクリーンショットは「みんなの青色申告19」を使用しております。

その前に補助科目とは?

会計王みんなの青色申告には、「〇科目」という科目という言葉がつくものが4つあります。
まず、その言葉の意味をここで整理します。

種類青色申告科目決 算 科 目勘 定 科 目補 助 科 目
説  明
  • 申告時に添付する決算書上に表示される科目をさします。
  • 複数の勘定科目が合計されている場合があります。
  • 決算書上に表示される科目をさします。
  • 複数の勘定科目が合計されている場合があります。
  • 取引内容を分類するための科目をさします。
  • 補助科目の合計が勘定科目になります。
  • 勘定科目の内訳をさします。
  • 内訳は口座ごと、取引先ごと、取引内容ごとなど利用目的により、集計の仕方がかわります。
具 体 例その他預金普通預金

普通預金

 

貯蓄預金

○○支店

△△支店

○◇支店

売掛金売掛金

売掛金

○○商店

△△商事

○■興業

補助科目を設定する4つの目的

補助科目を設定するときは、なぜ、補助科目を設定すべきなのかという理由を明確にします。
明確な理由がなければ、何となく集計しているだけであり、実質、作業負担だけが重くなっているという結果におちいりる可能性が高くなります。
明確な理由とは、何も難しいものではありません。

次のような簡単な理由で問題ありません。

  1. 事業運営上、残高を把握するため。
  2. 個人事業では青色申告(一般)のデータを入力するための利便性を追求するため。
  3. 法人では勘定科目内訳書のデータを集計するための利便性を追求するため。
  4. 何をどの程度見込めるのか、何にどの程度かかるのかなどの事業運営の判断材料として活用するため。

このように補助科目を設定する目的を明確にすることで、数あるたくさんの勘定科目の中から補助科目を設定すべき勘定科目の候補を絞り込むことができます。

補助科目は必ず設定すべきものではない

補助科目の設定は、必ず、すべての勘定科目に設定すべきであるという明確な法律による定めはありません。
取引量が少ないなど詳細を把握することが困難でない場合には無理に補助科目を設定する必要はありません。
理由のない補助科目の設定は、逆に作業の負担だけを重くしてしまうことにつながります。

補助科目を設定すべき候補例とは?

では、具体的にどのような勘定科目に補助科目を設定すべきなのでしょう。
ポイントは、上の補助科目を設定する目的の4つの条件に合うものなのか否かを熟慮するだけです。

経営管理上、残高を把握すべき勘定科目であること

請求書などの各証憑書類と残高を突合させる必要がある勘定科目を補助科目の設定の対象にします。
1円の誤差を徹底的に追求するという小さな積み重ねこそが組織の信用を積み重ねることにつながります。

  1. ○○預金
    通帳の残高と会計の残高を突合させるため、通帳ごとに補助科目を設定するのが望ましいです。
  2. 売掛金、買掛金、未払金
    各取引先、各仕入先などの請求書と会計の残高を突合させるため、取引先ごと、仕入先ごとに補助科目を設定するのが望ましいです。
    特にこれらの勘定科目は、振込料の値引きなど請求書と会計の残高に差額が生じやすい非常にデリケートな勘定科目です。取引先ごと、仕入先ごとに補助科目を設定することで、一目で残高の差額を確認できます。
  3. 預り金
    源泉所得税、住民税、社会保険料など納付もれがあると組織の信用を棄損する恐れがある大切な勘定科目です。そのため、目的ごとに補助科目を設定するのが望ましいです。

青色申告(一般)のデータを入力するうえで便利な勘定科目であること

みんなの青色申告の青色申告(一般)のデータを入力するうえで、内訳が集計されていると便利な勘定科目を対象にします。

  1. 受取手形、売掛金、支払手形、買掛金、未払金
    取引先ごと、仕入先ごとに集計されていると青色申告(一般)のデータの入力項目の一つである貸倒引当金の項目を入力する際に集計されていると便利な勘定科目になります。
  2. 地代家賃
    支払先ごとに集計されていると青色申告(一般)のデータの入力項目の一つである地代家賃の項目を入力する際に便利な勘定科目になります。

勘定科目内訳書のデータを集計するうえで便利な勘定科目であること

  1. 受取手形、売掛金、支払手形、買掛金、未払金
    取引先ごと、仕入先ごとに集計されていると勘定科目内訳書を集計する際に便利な勘定科目になります。
  2. 出資金
    信用金庫などの金融機関に一度、借入をすると出資を求められることがあります。一度、出資するとその後、何年も残り、取引内容を忘れてしまいます。取引先ごとに記録し、管理することが望ましいです。
  3. 保険積立金、配当積立金
    保険に加入している場合には、これらの勘定科目に補助科目を設定すると便利な場合があります。
  4. ○○借入金、○○未払金
    金融機関でローンを組むと返済予定表や償還予定表が送られてきます。その書類と会計の残高を突合させるため、返済予定表ごと、償還予定表ごとに補助科目を設定するのが望ましいです。
    特にこれらの勘定科目は、口座引落時に利息も含めて元金返済という処理をする方が多く、返済予定表や償還予定表と会計の残高に差額が生じやすい勘定科目になります。
  5. 地代家賃
    支払先ごとに集計されていると勘定科目内訳書を集計する際に便利な勘定科目になります。

その他の取引内容を把握すべき勘定科目であること

何をどの程度見込めるのか、何にどの程度かかるのかなどの必要な判断資料は、組織や事業形態により異なります。
あなたの組織に必要と思える勘定科目に補助科目を設定します。
例えば、車両費の中に集計されているもののうち、ガソリン代にかかった金額が知りたいなど、知りたい内容があれば積極的に補助科目を設定し、会計データを有効に活用しましょう。

管理するための設定方法は?

管理する場合の手段して、大きく分けて2つの方法があります。

  1. 補助科目として管理する
  2. 勘定科目として管理する

どちらも管理するという目的は同じですが、会計ソフトでは表現の仕方が大きく異なってきます。あなたがこれから細かく管理しようとしているものが多いか、少ないのかで両者を選択します。
もし、あなたが判断できない場合は、を選択してください。

補助科目で管理する場合

補助科目を設定する

  1. 勘定科目設定を表示
    【ダイレクトメニュー】☞【導入】のタブ☞【勘定科目の設定】をクリックします。

    勘定科目設定の表示

  2. 新規補助を選択
    売掛金の勘定科目の行にカーソルを置きます。
    F3【新規補助】をクリックします。

    新規補助を選択

  3. 入力欄を作成
    売掛金の勘定科目の下に補助科目の入力ができます。

    入力欄を作成

    例えば、正式名称「○○商店」、イニシャルキー「MARUM」のように必要事項を入力します。

    必要事項を入力

  4. 必要事項の入力
    必要事項の入力が完了すると完成します。
    ※補助科目は、赤字で表示されます。

    必要事項を入力すると完成

    合計残高試算表は、補助科目が設定されると勘定科目の左側にマークが表示されます。


    合計残高試算表で確認

その他補助に集計されているものを振り替える

仮に前年末日の段階で、324,000円の売掛金の残高がありました。
その売掛金の内訳は、○○商店の売掛金残高が216,000円、△△商事の売掛金残高が108,000円です。
この状態で今年、新たに補助科目を設定した場合、「その他補助」という補助科目で324,000円が集計されます。
これから、あなたは、○○商店の売掛金残高を216,000円、△△商事の売掛金残高を108,000円に分割する作業をおこなっていただきます。

その他補助に集計されているものを振替

このようなケースの場合には、以下のように対応してください。

  1. 簡易振替伝票入力を選択
    【ダイレクトメニュー】の【帳簿】のタブ☞【簡易振替伝票入力】をクリックします。

    簡易振替伝票入力を選択

  2. 簡易振替伝票入力を表示
    【簡易振替伝票入力】の入力画面が表示されます。
    ここで、補助科目の振替仕訳を入力してください。

    簡易振替伝票入力を表示

    01/01 (借方)売掛金/○○商店 216,000 (貸方)売掛金/指定なし 216,000
        第一摘要(上) 補助科目振替
        第二摘要(下) その他補助→○○商店

    01/01 (借方)売掛金/△△商事 108,000 (貸方)売掛金/指定なし 108,000
        第一摘要(上) 補助科目振替
        第二摘要(下) その他補助→△△商事

  3. 確認画面が表示
    作業内容の確認画面が表示されます。

    確認画面を表示

    指定された科目には補助科目が指定されております。
    補助科目コードを指定しない場合は「その他補助」を指定されたものともなして登録します。
    よろしいですか?

    確認のダイアログボックスが表示されます。

    このダイアログボックスは、みんなの青色申告があなたに問いかけております。
    みんなの青色申告のシステム設計では補助科目の設定がされているにもかかわらず、補助科目の入力されておりません。このままでは、みんなの青色申告のシステムでは判断できないので、わからないところは「その他補助」という補助科目を指定したことにします。

    とあなたに確認しております。

    今までおこなってきた作業は、「その他補助」に集計されている金額324,000円を「○○商店」へ216,000円と「△△商事」へ108,000円に振り替えることを目的としております。
    したがって、【OK】で次へ進みます。

    振替仕訳の入力

  4. 作業結果の確認
    補助科目の振替作業がこれで完了しました。
    作業結果を確認します。
    【ダイレクトメニュー】☞【集計】のタブ☞【合計残高試算表】を選択します。

    作業結果の確認

  5. 補助科目を表示
    【補助同時表示】にチェックマークを入れます。
    ○○商店の売掛金残高が216,000円。
    △△商事の売掛金残高が108,000円。
    その他補助の売掛金残高が0円。
    その他補助の324,000円がきれいに振り替えられました。

    合計残高試算表で確認

勘定科目で管理する場合

会計を重んじる方からはお叱りをうけるかもしれません。
普通預金などの通帳の数が1冊か2冊の場合、補助科目の設定をせずにあえて勘定科目で口座管理するという方法があります。
この方法を詳しく紹介します。

  1. 勘定科目設定を選択
    【ダイレクトメニュー】☞【導入】のタブ☞【勘定科目設定】を選択します。

    勘定科目設定を選択

  2. 勘定科目設定を表示
    【勘定科目設定】の画面が表示されます。
    コード欄に104 正式名称欄に当座預金
    コード欄に106 正式名称欄に普通預金
    コード欄に110 正式名称欄に定期預金
    と表示されております。

    例えば、あなたが普通預金の通帳を○○銀行△△支店と■■銀行●●支店を所有していたと仮定します。
    この場合、次のように修正、追加します。

    コード欄に106 正式名称欄に普通 ○○銀行 △△支店
    コード欄に107 正式名称欄に普通 ■■銀行 ●●支店
    では、実際に作業をすすめます。

    勘定科目設定を表示

  3. コード106を入力
    コード欄106の正式名称欄と略式名称欄を修正します。
    正式名称欄の【普通 預金】にカーソルを配置し、【普通 ○○銀行 △△支店】と上書きします。
    次に略式名称欄が【普通 ○○銀行】と上書きされます。そこで、【普通 ○○ △△】と入力します。

    コンピューター会計は、紙の帳簿と違い、入力できる文字数に制限があります。入力できない文字数の場合には、次のような工夫をします。
    1.空欄は半角英数字の空欄を使用します。
    2.英数字は半角英数字の英数字を使用します。
    3.カタカナは半角のカタカナを使用します。

    (注)正式名称欄は、全角で15文字までの入力となっております。

       略式名称欄は、全角で8文字までの入力なっております。
       イニシャルキー欄は、半角英数字8文字までの入力なっております。

    コード106の必要事項を入力

  4. コード107の入力欄を作成
    コード欄107の入力場所を作成します。
    正式名称欄の【普通 預金】にカーソルを配置し、【新規科目】をクリックします。
    【同一階層に挿入】と表示されます。【同一階層に挿入】をクリックします。

    コード107の入力場所を作成

    コード欄 106、正式名称欄 普通 ○○銀行 △△支店、略式名称欄 普通 ○○ △△、の行の下に新たに勘定科目の入力欄が表示されます。

    コード107の入力場所が作成

  5. コード107を入力
    ■■銀行●●支店の勘定科目を入力します。
    コード欄に【107】と入力します。
    正式名称欄に【普通 ■■銀行 ●●支店】と入力します。
    略式名称欄が【普通 ■■銀行】と上書きされます。そこで、【普通 ■■ ●●】と入力します。
    イニシャルキー欄に【HUTUU】と入力します。
    入力後は、【エンター】を押し、入力データを確定します。

    コード107の必要事項を入力

  6. 作業結果の確認
    勘定科目の修正・追加の作業がこれで完了しました。
    作業結果を確認します。
    【ダイレクトメニュー】☞【集計】のタブ☞【合計残高試算表】を選択します。

    合計残高試算表を選択

    「普通 ○○銀行 △△支店」と「普通 ■■銀行 ●●支店」の勘定科目が作成されました。

    合計残高試算表で確認

    このように通帳の冊数が少ない場合、補助科目で管理しなくても勘定科目として管理することができます。
    あなたの作業しやすい方法を選択してください。

まとめ

いかがでしたか?
補助科目の設定は、原則、インストール時に設定をします。
しかしながら、その後、経営上の管理の問題、また、税務上や会計処理を進めていくうえでも必要に応じ、随時、簡単に補助科目の設定をすることができます。

もし、あなたが初期の段階で補助科目の設定を迷って決められない場合には、慌てて無理をして決断せず、まずは、他の作業を最優先で完了させ、その後、じっくりと補助科目の設定の必要性を検討してください。

今回は、補助科目で管理する場合と勘定科目で管理する場合の2つの方法を紹介しました。どちらも管理するという目的は同じです。あなたの事業の形態に合わせて使い分けてください。

一番大切なことは、正しい会計帳簿を作成するということです。
そのためにあなたがついうっかりや勘違いを減らすためにはどうすべきかを熟慮してください。

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